【専門医解説】H&K分類, WFNS分類とは?くも膜下出血の重症度と予後がわかるスコア

【専門医解説】H&K分類, WFNS分類とは?くも膜下出血の重症度と予後がわかるスコア

Key Words
  • H&K分類
  • WFNS分類
  • Fisher分類

この記事は、医師から「くも膜下出血」と説明を受けた際に使われる専門的な分類やスコアについて、一般の方向けに分かりやすく解説しています。

この記事は、こんな方向け!
  • 身内がくも膜下出血で入院したとき、説明にこんな分類が書かれていたけど、よく分からない
  • 重症度によって、今後の見通しが変わってくるの?
目次

Hunt and Kosnik分類(H&K分類)

Grade 0未破裂の動脈瘤
Grade Ⅰ無症状か、最小限の頭痛および軽度の項部硬直がある
Grade Ⅰa急性の髄膜あるいは脳症状はないが、固定して神経学的失調がある
Grade Ⅱ中等度から強度の頭痛、項部硬直はあるが、脳神経麻痺以外の神経学的失調はない
Grade Ⅲ傾眠状態、錯乱状態、または軽度の巣症状を示す
Grade Ⅳ昏迷状態で中等度から重篤な片麻痺があり、早期除脳硬直および自律神経障害を伴うこともある
Grade Ⅴ深昏睡状態で除脳硬直があり、瀕死の様相を示す
重篤な全身性疾患、例えば高血圧、糖尿病、著明な動脈硬化、または慢性肺疾患、または脳血管造影でみられる頭蓋内血管攣縮が著明な場合には、重症度を1段階悪いほうに移す

Hunt WE, Kosnik EJ : Clin Neurosurg 21 : 79-89, 1974

くも膜下出血の重症度分類です。Grade Ⅳ以上は予後が厳しいというデータがあります。1974年の分類ですが、予後を反映する分類として有用で、現在でも手術適応や予後の判断材料として用いられています。

WFNS分類

GradeGCS score主要な局所神経症状(失語あるいは片麻痺)
15なし
14-13なし
14-13あり
12-7不問
6-3不問

Drake CG : J Neurosurg 68 : 985-986, 1988

くも膜下出血の重症度分類です。Grade Ⅳ以上は予後が厳しいというデータがあります。H&K分類と比べて簡便ですが、術前のGradeが大きく予後を反映するため、現在でも手術適応や予後の判断材料として用いられています。

Fisher分類

Group 1くも膜下出血がない
Group 2びまん性の薄いくも膜下出血がある
Group 3びまん性の厚いくも膜下出血がある
Group 4くも膜下出血は薄い、もしくは無いが、脳内あるいは脳室内血腫を伴う(血腫形成型)

Fisher CM, et al : Neurosurgery 6 : 1-9, 1980

くも膜下出血を、CTでの見え方で分類したものです。数字が重症度と相関しているわけではありません。(グレードではなく、グループである点に注意してください)

  • Group 1は、CTで画像上はっきりと見えない、という意味です。くも膜下出血を否定しているわけではありません。
  • 血腫が脳血管攣縮の発症に関与しているという考えのもとに、考案された分類です。
  • 脳血管攣縮の発生頻度は、Group 3の方が、Group 4よりも高いと報告されています。

この記事のまとめ
  • くも膜下出血に用いられるスコア、分類について解説
  • 重症度は今後の予後と相関する
  • H&K、WFNS、Fisher分類が主な分類
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この記事を書いた人

地方中核病院の勤務医です。脳神経外科専門医を取得して十年ほど経過しました。
脳卒中や頭部外傷など、脳神経外科領域の一般的診療を主に行っています。

病状説明や学生講義で、どう話したら分かってもらえるかに苦心することが多く、「むずかしいことを、むずかしい言葉で説明しない」ことを目標にして書いています。

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