Computed Tomography (Contrast Enhanced : CE)
- ヨード造影剤
- 血管、腫瘍が白く映る
- 3Dで立体的に把握できる
概要
CTを撮る際に、造影剤を使用して、情報量を増やす検査です。
白黒画像で、組織は灰色のコントラストで描かれますが、より見やすくなります。
3D画像にすることもでき、PC上で疑似的に色をつけて、立体的な画像をつくることもできます。
長所
- 単純CT検査よりも、異常な病変のコントラストがつよくなり、明確に見えるようになります。
- 血管を3Dで立体的に描いて、異常な血管(動脈瘤など)を発見することができます。
- 造影剤の流れを動画として見るような撮影方法もあります。
短所
- 金属や骨により、アーチファクト(雑音)があります。
- 放射線被曝量が大きいです。
- 造影剤により、腎臓への負担がかかることがあります。(造影剤腎症)
実例
単純CT検査では、はっきり見えなかった病変も、造影することで明確に見えるようになることがあります。
また、カテーテル検査なしでも、血管を立体的に見ることができるのも、大きな長所です。
腫瘍
脳腫瘍は造影剤で見えやすくなる(=増強される)ものが多く、病態評価や治療方針の決定に欠かせません。
3D-CTA(頭部)
血管は周囲の脳組織とCT値がほとんど同じなので、造影剤を使わないと見えません。造影剤を使って血管に特化した撮影の仕方をすると、動脈のみをきれいに抜き出して見ることができます。
くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の検出に、とても有効です。PC上で3D画像を操作してイメージをつかむこともでき、手術のシミュレーションに役立ちます。
3D-CTA(頚部)
血管の描出に優れているので、首の血管(頚動脈)もきれいに写し出すことができます。
頚部内頚動脈狭窄は、アテローム血栓性脳梗塞の原因となるため、病態の評価や手術のシミュレーションに役立ちます。
医療者向け
理屈
使用する造影剤は、「水溶性非イオン性ヨード造影剤」です。
ヨードはX線吸収度が高く(=CTで白く)、血液中でも安定している性質から、CTの造影剤として広く使われています。
血管と脳組織はX線吸収度がほぼ同じなので、単純CTでは区別できません。造影剤が血管内を満たす状況をつくって撮影することで、血管のみを強調して写し出すことができます。
腫瘍と脳組織はX線吸収度がほぼ同じことがあり、単純CTでは区別できません。脳腫瘍は脳血液関門(blood brain barrior : BBB)が破綻しているので、正常脳組織には取り込まれないはずの造影剤が腫瘍組織には取り込まれます。そのため、腫瘍だけが強調して写し出されます。
検査時
造影剤はインジェクターという注射器を使い、一定の速度で静注します。
静脈ルートの側管から行うことが多いです。
3D-CTAの場合は、4mL/秒など高い圧をかけて急速静注するため、「20ゲージ以上、かつ、ロック付きの側管」が必要です。
注入時は、漏れがないか必ず確認が必要であり、目視での立ち会い確認が必要です。
造影剤の副作用
腎排泄なので、腎機能障害がある方には注意が必要です。
透析中の方は、検査後に透析が必要になります。
5%未満の確率で、さむけ・めまい・嘔吐・じんましん・発疹・顔面紅潮などの副作用を生じます。これらは経過観察や対症療法で自然軽快が期待できます。
0.04%未満の確率で、アナフィラキシー(呼吸困難・血圧低下)や、急性腎不全などの重篤な副作用を生じます。これらは即座の治療が必要です。
ヨード造影剤の注意点
腎機能のチェックが必ず必要です。造影剤腎症を発症する場合があります。
検査後に、尿が出なくなった、呼吸苦が出てきた、などの場合は造影剤腎症を生じている可能性があります。
ビグアナイド系経口糖尿病薬を内服している場合は、検査前後数日の休薬が必要です。乳酸アシドーシスを起こす可能性があります。(検査日の前後2日で、計5日間程度が多いです)
メトグルコ、メトホルミン、グリコラン、メデット、ネルビス、メトリオン、メルビン、メタクト、ジベトス、ジベトンなど
もう少し詳しい情報
通常の造影CTや、3D-CTAのほかにも、色々な撮影方法があります。
灌流CT perfusion CT
ヨード造影剤を急速静注して、同じ場所をCTで連続撮影する方法です。
脳槽造影 CT myelography
髄腔内注入用の低濃度ヨード造影剤を、腰椎穿刺で注入して、くも膜下腔~脳室への造影剤の拡がりをCTで観察する方法です。
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